2022-05-15

子宮内フローラと妊孕力との関係

子宮内フローラとは

子宮内フローラという言葉を聞いたことはありますか?

子宮内は無菌と考えられていましたが、2015年、アメリカの研究で子宮内に菌が存在し集合体を作っていることがわかりました。

さらにその翌年の2016年には、子宮内の細菌バランスと妊孕力(妊娠する力)に相関性があるという研究結果も報告されました。

この子宮内細菌集合体は、その様子がお花畑のように見えることから「子宮内フローラ」とも呼ばれています。

子宮内の善玉菌「ラクトバチルス属」が妊娠のカギ?

2016年に行われた研究では、体外受精によって妊娠・出産した人の子宮内フローラは、善玉菌である「ラクトバチルス属」が大多数(90%以上)を占め、逆に妊娠に至らなかった人のフローラはラクトバチルス属以外の細菌が増殖していたという結果が報告されました。

妊活Baby-mo赤ちゃんが欲しいより

つまり、子宮内環境が良好な状態(ラクトバチルス属90%以上)に胚移植を行うと着床率を上げられる可能性があるということです。

実際、スペインの不妊クリニックで行われた調査では、子宮内フローラ正常群(ラクトバチルス属90%以上)の人とそうでは無い群を比べた際、正常群の方が「妊娠率」「妊娠継続率」「生児獲得率」のすべてにおいて有意であったと報告されています。

スペインのIVI Valenciaクリニックでの調査結果(妊活Baby-mo赤ちゃんが欲しいより)

子宮内フローラの検査方法

子宮内フローラの検査方法は、膣壁と子宮内から検体を採取・保管し、3~4週間後に結果報告という流れで行われます。

また、検査をしている機関は不妊治療専門クリニックであればほぼ対応可能のようです。

子宮内環境を良好にするために

大阪の不妊治療専門クリニック、英(はなぶさ)ウィメンズクリニック理事長塩谷先生によると、体内細菌叢の改善に向けて日常でできることとして、

●家庭環境の改善
●発酵食品の摂取
●動物の飼育
●生鮮食品の摂取(信頼できる製品に限る)
●健康な他者との接触
●ストレス緩和
●適度な運動
●もし体内細菌が深刻な状態であるならサプリなどの摂取
●繊維質が豊富な食材の摂取
●抗生物質の摂取を控える
●自然と戯れる時間

を挙げられています。

以下、私なりの考えを補足していきます。

家庭環境の改善

日常生活の基盤である家庭環境(室温などの環境も含みます)を良好に保ち、見直す部分があれば改善しましょう。


発酵食品の摂取

体に有益な菌を直接取り込むことが出来ます。ちなみに発酵と腐敗の違いは、状態そのものは同じですが、体に有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」と呼ばれています。


動物の飼育

共生細菌という言葉があります。動物を飼育している人はそうでない人に比べて腸内細菌の種類が豊富であり、また幼児においてはビフィズス菌が2倍以上になるという報告も。


生鮮食品の摂取(信頼できる製品に限る)

残留農薬や保存料の含まれていない食品を摂りましょう。(スーパーで売られているお刺身にも添加物が使用されていることが。)


健康な他者との接触

心身とも健康な人との触れ合いは精神の安定にもなります。


ストレス緩和

過度なストレスは内臓の働きを悪くさせ、また悪玉菌が増える原因にも繋がります。


適度な運動

適度な運動は自律神経の乱れを改善してくれます。女性や老人に多い、筋力不足タイプの便秘対策にも。


もし体内細菌が深刻な状態であるならサプリなどの摂取

食生活や運動習慣の見直しから始めることが大前提ですが、深刻であればサプリの摂取も(クリニックで治療中の方はかかりつけ医に相談しましょう)


繊維質が豊富な食材の摂取

良い食品を摂る前に、まずは体内をきれいにして消化吸収しやすくしておく必要があります。

私たちの体に備わっている毒素排出システムは、便・尿・汗・爪・髪。そのうち約75%を占めるのが便です。(尿は約20%、汗は約3%、爪や髪はごく微量)

便を溜めたままにしていると、その腐敗便から水分を再吸収しては血管を通して全身を巡るという、まさに悪循環になってしまいます。繊維質を摂取して体内のデトックス機能を高めることも大切です。※食物繊維の種類によっては逆効果になることもあるので注意が必要です


抗生物質の摂取を控える

抗生物質は体内の良い菌も死滅させてしまいます。


自然と戯れる時間

リフレッシュさせる効果とともに、普段取り込むことが出来ない微生物なども取り込めます。自然の中で深呼吸することで腸内環境が改善されたという報告もあります。もちろん運動不足解消にもつながりますね。

子宮内環境=腸内環境

前述の英ウィメンズクリニック塩谷先生の話で、子宮内フローラではなく「体内細菌叢を改善する」と仰っている通り、人間の体に存在するフローラはすべて関連しているので、腸内環境に着目すれば子宮環境もよくなると考えられます。

以上のことから、腸内環境を整えることは妊娠にも大切であるということが伝われば幸いです。

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