なぜ、鍼灸は一度すたれ、今また見直されているのか?──そして今、私がこの道にいる理由。
代表河北です。
今日は「鍼灸」が辿ってきた歴史と、私自身が今この道を選び、日々施術を続けている理由をお話します。
鍼灸は遠い昔から人々を支えてきた医療
鍼灸は、数千年の歴史をもつ東洋の伝統医療。
その始まりは、飛鳥時代(6世紀〜)にまでさかのぼります。
当時、仏教や漢字とともに、中国の文化や知識が日本に伝えられ、医学もそのひとつでした。
奈良時代(710年〜)には、鍼灸は国家医療のひとつとして制度化されます。
今の「厚生労働省」にあたるような役所に、“典薬寮(てんやくりょう)”という医療機関があり、そこでは鍼灸や漢方を含む「東洋医学」が、きちんとした知識として管理されていました。
その後も江戸時代にかけて、鍼灸は多くの人の健康を支え、お殿様から庶民まで、「からだを整える手段」として親しまれていました。
鍼灸は”古いもの”とされてしまった
ところが、時代が明治に入ると状況が一変します。
日本は近代国家を目指し、西洋の技術・文化・制度を積極的に取り入れ始めました。
その中で、医療も「近代化」され、政府は西洋医学を唯一の正式な医学として制度化。
鍼灸や漢方といった東洋医学は、「迷信」「時代遅れ」と見なされ、医療の表舞台から遠ざかっていきます。
当時は、「西洋こそが正しい」という空気がとても強かったのです。
戦後にもう一度訪れた危機
第二次世界大戦後、日本がGHQ(連合国軍)に統治されていた時代、GHQは鍼灸や按摩(あんま)などの伝統医療を廃止しようとする動きを見せました。
しかし日本の医師や研究者たちが「鍼灸には人々の健康を支える力がある」と訴えたことで、その価値が認められ、鍼灸は存続されることとなりました。
この働きかけがなければ、今のように鍼灸が残っていなかったかもしれません。
私たちは、そんな“鍼灸を守ってくれた人たち”のバトンを受け取って、今、施術を続けています。
今、改めて世界が鍼灸を見直している
それからおよそ100年。
科学も技術も進歩し、病気の多くは「治せる」ようになりました。
それでも、便利になった暮らしの中で
✔︎ 自律神経の乱れ
✔︎ 慢性的な疲れやストレスによる体調不良や心の不調
✔︎ 数値では出ないけれど「つらい」状態
こうした“病気になる一歩手前の不調”が増え続けています。
薬ではなく、「自分の力で整えたい」
病名はないけれど、「このままではつらい」
そんな声が増えてきた今、鍼灸のような「本来のバランスを取り戻す医療」が、世界中で改めて注目されはじめているのです。
見える化され始めた鍼灸
鍼を施すと、
・脳内で“痛みを和らげる物質”(エンドルフィンやセロトニン)が分泌される
・自律神経に働きかけることで、リラックス状態(副交感神経優位)に導かれる
・ツボ刺激によって血流が改善され、冷えやこりが緩和される
これらのメカニズムは、MRIやホルモン検査などの研究で少しずつ明らかになっています。
欧米では、妊娠に向けた体づくりや、術後の痛み管理・がんの補完医療などにも鍼灸が導入されており、西洋医学と併用する“統合医療”のひとつとして価値が高まっています。
実は、WHO(世界保健機関)も113にも及ぶ症例に対しての鍼灸の有効性を正式に認めています。
ストレス社会に”やさしい医療”という選択を
私が鍼灸師として大切にしているのは、薬に頼る前に、「自分のからだの声を聞く」ということ。
東洋医学には、「未病(みびょう)」という言葉があります。
まだ病気と診断されないけれど、どこか調子が悪い――
そんなサインを見逃さず、早いうちに整えていくのが、鍼灸の得意分野です。
「年齢のせいかも」「がんばりすぎただけ」と、つい自分を後回しにしてしまうあなたに、「こういう手当てもあるんですよ」と、そっと差し出せたら。
それが、私の願いです。
最後に
鍼灸は、古くて新しい医療です。
ずっと昔からあったけれど、今の時代にこそ、必要とされていると感じています。
もし、あなたが今、どこかに不調を抱えていたり、「年のせいだから」とあきらめかけていたら──
鍼灸は、そんなあなたの選択肢になれるかもしれません。
鍼灸は、昔ながらの知恵でありながら、今の時代を生きる私たちに、そっと寄り添ってくれるものです。
「本当はどうしたいのか?」「本当はどうありたいのか?」
そんな質問を自分に問いかけたときに、この鍼灸という選択肢があなたの心に在ってくれたら嬉しいです。
今日も、からだと心にやさしい時間が流れますように。
ルーチェ鍼灸院代表 河北景子
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